2015/03/03| 七福萬来
(日本語) 皮肉にも
久しぶりにお会いした知人は、金融庁監督局監査調査室に勤めていた。
話には聞いているが、民間金融機関にとっては不穏な行政機関です。
数年前に高視聴率を記録した ドラマ『半沢直樹』 にも、片岡愛之助さん演じる金融庁監査調査室の役人が登場し人気を後押しした。
金融庁ってコンプライアンスが求められる金融機関にとって背筋の伸びる存在なので、その対比はドラマ的なのでしょう。
じゃあお役所の人が安泰かというとそうではなく、おおむね政治家に弱い。
その政治家はマスコミに弱く、マスコミはスポンサーに弱い。
スポンサーは大衆に弱く、大衆は生活のため働き、足りない分は金融機関から借りるので金融機関に弱い。
その金融機関を取り締まるのが金融庁のお役所の人たち。
皮肉にもなんかぐるっと回った。
考えてみれば、ぐるっと回りながらもすべてお金が絡んでるような気がする。
『金は天下のまわりもの』って言葉は、ここから?と思うぐらい。
いつの世もお金にまつわる話は絶えないです。
もちろん私も順風満帆で今まで来たわけでなく、お金がすごくうらめしくなる時だってありました。
皮肉にもそれがあるから今があると言ってもいい。
『田能久(たのきゅう)』 という落語があります。(以前にも紹介したことがあったかも・・)
落語にしては珍しく四国が舞台。
役者の田能久さんは、愛媛での芝居公演中に徳島に住む母親の危篤の知らせを受けます。
すぐに徳島へ帰ろうと山道を通ってると、大蛇(うわばみ)に出くわす。
この大蛇、食べる前に名前を聞いてきたので 「田能久(たのきゅう)」だというと 「タヌキか!」と聞き違えする。
同じ山の中でくらす仲間を食べるわけいかないが、本当のタヌキかどうか化けて見ろといい始めた。
そこで田能久さん、荷物の中からかつらや化粧道具を使って女に化けたり、年寄りに化けたりした。
すっかりタヌキだと信じた大蛇(うわばみ)は上機嫌になり、お互い嫌いなものを言い合うことになった。
大蛇はタバコのヤニがつくと体が溶けてしまうので大嫌いだといい、田能久さんは人の欲が出てしまうお金が嫌いだという。
そして大蛇と別れ、民家のある村まで下って、村人たちと一緒にタバコのヤニを使って大蛇をやっつける。
田能久さんは、徳島にもどり、母親も回復した。
そんなある夜のこと、田能久さんの裏庭に血まみれになった大蛇が現れる。
「よくもオレのことを裏切ったなぁ!仕返ししてやるぅ!」
大蛇がそう言って息絶えたかと思うと、いくつもの千両箱がドーンと降ってきた。というオチ。
お金って皮肉なものです。
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