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熊本県人吉(ひとよし)市に行ってきました。

地理的説明を少しすると、人吉(ひとよし)市は、熊本県の南の山間に位置し、鹿児島県との県堺の街で、昔から球磨(くま)地方と呼ばれていました。

人口は約3万5千人で、産業は観光と農業、そして焼酎。

この焼酎をキーワードに私は人吉市に行ったのです。

人吉市域は米焼酎の産地で、米焼酎のことを地域名から 通称 球磨(くま)焼酎といいます。

ちなみに国税庁から焼酎の産地呼称として認められているのは日本に4つしかありません。

芋を使った 『薩摩(さつま)焼酎』(鹿児島)、麦を使った 『壱岐(いき)焼酎』(長崎)、タイ米を使った 『琉球泡盛(りゅうきゅうあわもり)』(沖縄) そして 米を使った 『球磨(くま)焼酎』(熊本・人吉)です。

他の産地が県単位に対して、球磨焼酎は人吉地区のみで作られるので、プレミアム感があるのです。

が、しかし・・。

世間一般的には、米焼酎の産地はあまり知られてなく、ましてや 『球磨』 って漢字を見て 「くま!」と読める人がどのぐらいいるだろうか?

そこに球磨(くま)焼酎を作っている酒造メーカーの憂いがあるのです。

そこで、その解決の糸口として 『今治タオル』の産地ブランディングを成功させた四国タオル工業組合を紹介してほしいという依頼があり、準備のためのヒアリングに出向いたのです。

お会いしたのは球磨焼酎酒造組合 代表理事 で 高橋酒造株式会社の 高橋社長。

高橋酒造さまは、本格こめ焼酎 『白岳』や『しろ』 という商品名で全国展開されている 酒造メーカーです。

ヒアリングは、何を悩んでいらっしゃるのか?何を望んでいらっしゃるのか?何をお聞きになりたいのか?をお聞きすることを目的に行いました。

柔和(にゅうわ)であり、どっしり構えた風格のわりに質素な装いの高橋社長にいくつかの質問をさせていただきました。

その中で意外な回答だったのは、人手不足になっていない。とのこと。

失礼な物言いで恐縮ですが、どちらかといえば過疎の雰囲気のある小さな街では考えられない。

でも人手不足にならない理由の一端が、ヒアリングが終わり鹿児島空港まで社員の方に車で送ってもらった時、垣間見れたのです。

時は戦国時代、人吉城の主、相良(さがら)氏が立派ならば、その家臣たちも人として立派だったそうです。

何が立派かというと、家臣たち仲良く互いに助け合って城主を盛り立てたとのこと。

地名である ”人吉(ひとよし)” の語源は その家臣たちの人物像である 「お人よし」 からできたそうです。

人吉城の横を通過する車中、社員の方に教えてもらいました。

「ウチの社員も、みんな お人よしで、よく働くんです。なぜかというと、みんな(高橋)社長が好きだからです。」

「ウチの社長は地味な格好してるでしょ?それは焼酎が庶民の飲み物だから、自身も派手にしちゃいけないと言ってるんです。」

その話を聞いた時、人手不足にならない原因が、人吉の歴史風土にあるように思えたのです。

威張らない、気取らない、仲良く助け合う 球磨(くま)の人・・人吉城主 相良氏とその家臣たちのDNA。

・・・おそるべし 球磨焼酎。勉強させていただくのは我々の方かも・・・

早速、四国タオル工業組合にセッティング依頼をしたのでした。

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