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TOWEL STORY~ギフト篇~最終話

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「父ちゃん!?だろ?」 ユズルはサンタクロースに声をかけるたび

「メリークリスマス!」 としか答えない。

前田先生も先生のご両親も笑いをこらえるのに必死。

ユズルは何が何だかよくわからなくなったが、父親がそばにいてくれることは安心感がある。

「さあユズル君、サンタさんはユズル君のためにプレゼントを持ってきてくれたんだよ。」

前田先生の言葉を受けて、サンタクロースはユズルにきれいなラッピングされた包みを渡した。

「さあ開けてみよう。」

ユズルが包みを破り、箱の中身からはカラフルな水玉模様の湯上げ(バスタオル)が出てきた。

箱から取り出したバスタオルを広げて見せると、サンタクロースはそのタオルをユズルの頭にかぶせ、両手で頭をゆすり、そのまま自分の胸倉に引き寄せた。

頭を揺らされながらユズルは父の涙声を聞きもらさなかった。

「先生、ありがとうございます。」

すべて前田先生が段取りをしたことは後で知った。

実は前田先生のお風呂はもうすでに直っていた・・、いや最初から壊れていなかったのかもしれない。

クリスマスイブのあと、銭湯には父親と一緒に行くことが増えた。

たまに一人の時もあったが、湯上げ(バスタオル)があるのでさみしくなかった。

決して楽しいことばかりではなかったが、タオルがあるとユズルは元気が出た。

あれから15年後、ユズルは結婚し、結婚式には、前田先生に親の席に座ってもらった。

そしてユズルは前田先生に手紙を渡しました。

「前田先生へ、今日この日を迎えられるのは先生のおかげです。父一人に育てられていた私を気にしてくれ銭湯によく連れて行ってくれ、お風呂上りにいつも頭をバスタオルにくるんで拭いてくれましたね。そしてクリスマスイブの日に私と父を自宅に招待してくれました。サンタクロースからの・・・、いや先生からのプレゼントはバスタオルでした。私にとってあのバスタオルは家族の絆になりました。あのバスタオルがあったからこそこれまで強く生きてこれました。だから今度は私から先生にバスタオルをプレゼントしたいと思います。そして毎年クリスマスにバスタオルをプレゼントしたいです。先生は私の家族です。今日はずっと言えなかったお礼を言わせてください。ありがとうお母さん。」

そして今年のクリスマスもユズルは前田先生に家族の証としてバスタオルをプレゼントします。

「メリークリスマス」

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