2013/03/21| 七福萬来
さくらいろ
今年の桜は例年になく早く咲いています。
東京ではすでに5分咲きで今週末には満開となるそうです。
私の車のFMラジオからは、ここ数日は桜にかかわる曲がしきりに流れています。
目にも耳にも春本番。
それにしても、今年の開花は早い。
先日、春分の日夕方に松山のデパ地下で桜もちを買おうとしたら売り切れていました。
この季節にみんな同じことを思うのでしょう。
桜もちといえば、東京・向島にある長命寺。
私が長命寺の桜もちを知ったのは ”おせつ徳三郎” という落語からです。
この落語、前半部分”花見小僧” と 後半部分”刀屋”に分かれた長講落語。
内容は大きなお店の一人娘 おせつ と 奉公人 徳三郎 の恋物語です。
二人の仲を怪しんだ旦那さまが、丁稚の定吉に様子を聞き始めるところから物語はスタート。
丁稚の定吉は、おせつ や 女中に口止めされているので旦那さんが二人の仲を尋ねてもしゃべりません。
旦那さんは何とか口を割らせようと、「しゃべらなければお灸をすえるから、足を出せ!」と、脅します。
それでポツリポツリしゃべり始め、途中で話を終わらせようとすると 「忘れたならお灸だ!足出せ!」とまた脅す。
その話の中で、おせつと徳三郎とのデート中におせつが旦那さんのために長命寺へ行って 桜もちを買ってくるシーンがあります。
それを聞いた旦那さんは、わが娘の優しさにふれ 長命寺と桜もちの誕生由縁について語るのです。
丁稚の定吉は旦那さんの話に 「それで?」「なるほど。」「ふーん」と相槌をうち、話終わると 「忘れたな!足出せ!」 と 旦那さんに逆ツッコミをする。
春の陽気と若い二人の淡い恋をかけ合わせながら、一人娘が心配で仕方がない父親の心情を描いた私の好きな落語です。
春を感じると 桜もちが食べたくなり、”おせつ徳三郎”と長命寺を思い出してしまいます。
落語 ”おせつ徳三郎” のイメージで作った句があり、この季節に ご結婚される二人に贈る祝電に必ず書くことにしています。
“春爛漫 ふたりで買った さくらもち ふたりの顔も さくらいろ”
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