2012/11/13| 七福萬来
柳川下り
福岡県柳川市を訪れ、”柳川下り” という、舟遊びをしてみました。
柳川市は中心部にお堀が通っていて、そのお堀に舟を浮かべて船頭さんが竿一本で遊覧してくれるのです。
お堀なので川の流れはなく、静かにゆっくりと舟は進んでいきます。
風情は違いますが、イタリア・ベニスの遊覧舟のよう。
船頭さんは、柳川出身の詩人・北原白秋の ”あかしやの花” の一節を歌ってくれました。
薄日がさし、心地よい風が時おり頬をなで、静かな街並みにその歌声は流れていきます。
ホント気持ちのいいひとときでしたが、すれ違う舟を見ながら、「あの舟は協会に入っていないモグリだから気をつけるように・・」 と船頭さん。
それどころか、「あいつらは、観光説明もろくにできないどころか、読み書きもできない。」
と、日ごろの恨みつらみをぼやきが始まりました。
どこの業界でも、おいしいところだけ取っていく人はいるものです。
柳川と聞けば、”うなぎのせいろ蒸し” というぐらい、街のあちこちにうなぎ店が目につきます。
船着き場には、うなぎのかば焼きの匂いが漂っていて、思わずよだれが出てしまいそうに。
「ううっ・・おいしそうな匂い!」
うなぎのかば焼きの匂いはどうしてこんなに食欲をそそるのでしょうか?
うなぎといえば、モチーフにした数々の落語がありますが、その中でも大好きな小噺があります。
うなぎ屋さんの隣に住んでいるケチな男は、いつも隣から流れてくる、うなぎのかば焼きの煙を嗅ぎながら、ごはんを食べていました。
うなぎ屋さんもケチなので、自分ところの煙でご飯を食べられていることがシャクにさわって仕方がありません。
ある日のこと、うなぎ屋さんのご主人は隣の男のところに請求書を持って行きました。
「何?これ??」
「いつもうちの煙を嗅いでは、飯食ってるんで、煙の嗅ぎ賃を頂戴しにきた。さあ払ってくれ!」
「なるほどね、払ってやるよ!」
ケチな男は、小銭のいっぱい入った財布を うなぎ屋の主人の耳元に持ってきて そいつを振りながら
「音だけ聞いて帰れ。」
むかしから おしいところだけ取っていく奴はいるものです。
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