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井戸の茶碗

東野圭吾さんの最新作 「虚像の道化師」 を読みはじめました。

物理学者 湯川先生が不思議な現象事件を科学的に解明する人気シリーズで今回で7作目です。

東野圭吾さんの作品は、全作品読破しています。

私は愛読家ではないのですが、彼の作品は内容に幅がありおもしろいのです。

でも、一番は読みやすいということ。

 ”絆” という大きなテーマが彼の作風であると思っていて、そこに共感が得られるのです。

この共感することはとても大事で、仕事においても重要なキーワードになっています。

例えば、お客さまからクレームが出るとします。

すぐに対応するのはあたりまえですが、社員任せにせず、できるだけ私も同じ汗をかくようにします。

いいことも悪いことも共感・共有すると、互いに理解しやすくなるのです。

“井戸の茶碗” という落語があります。

正直者の屑屋である清兵衛が、貧乏浪人千代田朴齋(ちよだぼくさい)から古い仏像を買います。

その仏像を高木佐久衛門(たかぎさくえもん)という武士に転売しますが、仏像の中から50両というお金が出てきます。

高木は仏像は買ったが、中の50両まで買った覚えはないと、そのお金を千代田に返そうとします。

しかし千代田は受け取ろうとしません。

この二人の間を行ったり来たりするのが、清兵衛さんなのです。

間に長屋の家主が入り、千代田は自分が使っている茶碗を差し出す代わりにお金を受け取るのですが、その茶碗が名器”井戸の茶碗”であることが発覚し、今度は300両というお金になります。

高木は150両づつ千代田と分けることを提案しますが、千代田は受け取ろうとしません。

そして、また清兵衛は150両のお金を持って二人の間を行ったり来たりしているうちに、とうとう怒ってしまいます。

「いい加減にしてください!あなたたちは私のことを考えた事がありますか?150両という大金を持って千代田様と高木様とを行ったり来たりしている姿を一度でも想像したことがありますか!」

その言葉に千代田はハッとし、自分の娘を高木に嫁がせるということになるというストーリーです。

できているようでできていないのが、共感・共有です。

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