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落ちる

大阪で立川志の輔師匠の独演会へ行ってきました。

今回の公演は、演目が事前に開示されていて 『中村仲蔵』でした。

1時間30分の長講噺で、歌舞伎界を舞台にした、実在の役者 ”中村仲蔵”の出世噺です。

志の輔さんの『中村仲蔵』は、単なる出世エピソードだけでなく、歌舞伎界のルールを立体的に構成・説明しています。

相撲の世界でも横綱になるまでに大関・関脇・小結・幕内・十両・幕下・・・序の口という階級制があるのと同じように、歌舞伎界でも上から名題(なだい)・相中(あいちゅう)・中通り・稲荷町 といくつかの階級があります。

ただ江戸時代、歌舞伎界では世襲制があり、血筋のないものは名題(なだい)どころか相中(あいちゅう)にもなれなかったところ、中村仲蔵は実力があり名題(なだい)になりますが、それをよしとしない人たちもいて、やっかみ多き中イジメのような仕打ちを受けます。

名題(なだい)になって初めての役が、仮名手本忠臣蔵・五段目 斧定九郎(おのさだくろう)という役でした。

忠臣蔵は人気芝居ですが、この五段目というのは、通称 ”お弁当幕” と言われるほど注目されるシーンでなく、斧定九郎という役は端役であり、名題(なだい)が勤めなければならない役でもありません。

どの世界でもある、出る釘は打たれる ということなんでしょう、ひどい仕打ちを受けるです・・が、仲蔵はこの役を花形役者が勤める役に作りかえるのです。

この噺を語るにあたり、志の輔師匠の構成力と話術は、すばらしいの一言なのです。

落ちを言い終えると、惜しみない拍手がいつまでも続いていました。

それは、中村仲蔵と立川志の輔師匠が重なった瞬間でもありました。

立川志の輔師匠は、毎日新聞にコラムを毎週連載されています。

“志の輔らくご”の公演はもちろんのこと、活字での”志の輔らくご” も心地よく、すごく楽しいのです。

直近のコラムでは、開業したスカイツリーの話題に絡めて、自身が高所恐怖症であることを告知した上で、経験談を交え、しかもその克服方法まで触れています。

そして締めくくりは落ちが待っています。

その流れるような文章力もさることながら、構成力もプロを感じてしまうのです。

そういえば、プライベートでご一緒した時に、自分が高所恐怖症であることを話していました。

姫路城の天守閣改修工事現場へ行った時も、小さな飛行機で福岡から松山へ同行した時も、確かにフリーズしていました。

「落ちたらどうしよう・・と考えてしまうんだよな。」 と、そのたびに志の輔師匠。

落語家ってつくづく因果な商売です。

だって落ちで飯食ってのに・・。

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