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ふたつの真心

人の評価や見方ってちょっとしたことで変わります。

「私って、目つき悪いでしょう。だからいつも損ばかりしているんです。」

取引銀行の担当者がそう言います。

「確かに・・目つきがよくないけど、借金の取り立ての時にはその顔が役に立つんじゃない?」

「そんなぁ~。でも以前にこんなことがあったんですよ。」

彼が銀行マンとして駆けだしのころに性格の悪い得意先がいたそうです。

約束の時間に少しでも遅れると、すごく嫌味を言われ、少し早い目に行くとこれまた 「これから出かけるところだから、出直してこい!」 と言われます。

極めつけは、雨の日に集金に行った時に、玄関先で2万円を投げつけられ、水たまりに落ちた現金に向かって 「拾え!」と言われた時には、さすがに堪忍袋の緒が切れそうになったとのこと。

ある日のこと、その苦手な得意先が銀行のキャッシュコーナーに訪れたのを見かけ、彼は声をかけました。

「ご来店ありがとうございます。あのぁ~、もしよろしければ、御集金させていただいてよろしいでしょうか?」

普通に対応する事を心がけ、2万円の集金をしたそうですが、できるだけ早く終わらせようとしたのでしょう、現金を正確に確認するのを怠ったのです。

受取書を渡し、得意先を見送った後、あらためて現金を確認すると、2万円のところ3万円あったそうです。

『まずい!』と、一瞬思ったのですが、また耳にしたくない嫌味を散々言われることを想像したら足がすくみ、恨めしい気持ちになりました。

『しまったなぁ!』『嫌だなぁ。』『どうしようか?』『畜生!』『何なんだよ!』『今度は何言われるんだろぉ』『最悪!』・・

いろんな事が頭をよぎり、恐ろしい事まで考えついた時、意を決して車で得意先を追いかけていました。

「さきほどお預かりした現金ですが、1万円余分に頂戴してしまっていました。確認するのを怠り申し訳ございませんでした。」

追いついた先で深々と頭を下げると、その得意先は、

「ありがとう。」 と言ったあと 「君には今まで嫌味な態度ばかりで申し訳なかった。」と逆に詫びてくれたそうです。

「あれから、その得意先にはすごくかわいがっていただきました。えへへ・・。」

鋭いまなざしの銀行マンにとって、よほどうれしかったのでしょう、照れ笑いの奥に志がありました。

「いい話だ。きっと君の真心(まごころ)が通じたんだよ。」 

人の評価や見方って、真心で大きく変わります。

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