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逃げ道

大学の落語研究部時代、先輩からの命令や指示に対しての返答に必ず返す言葉があります。

「押忍(オスッ)!」

この返答は卒業してから30年近く経った今も、大学時代の先輩に対して口に出てしまいます。

何故、返答するのに「押忍(オスッ)!」かというと、その理由があります。

東海大学落語研究部は応援団から分離独立したのです。

昭和35年、応援団員の中でお笑いメンバーが、「応援活動よりもお笑い活動したいので、独立させてほしい」 と申し立て、先輩たちの承認を得て独立したのです。

なので、落語研究部発足しても、先輩への挨拶は応援団の流れそのままに「押忍(オスッ)!」となり、21年後に私が入部した昭和56年もその風土は脈々と残っていました。

ただ、使い方が少々変化してきています。

命令された時、指示された時、挨拶などはもちろん「押忍(オスッ)!」ですが、先輩対して失礼な事や、軽口をたたいた後、

「何ぃ?!先輩に向かって何だ!」と指摘を受けた時も

「押忍(オスッ)!」と言います。

辛口や毒のある冗談を指摘された時には、「押忍(オスッ)!押忍(オスッ)!」と、2回繰り返します。

「手前ぇ、『押忍(オスッ)!』といえば何でも許されると思っているだろう!」と言われれば、さらに、

「押忍(オスッ)!」と言います。

口ぐせというか、逃げ道が「押忍(オスッ)!」なのです。

韓国歴史ドラマを見ていて、よく似たフレーズがあります。

朝鮮王朝の国王に、家臣たちがよく言う言葉です。

「どうか私を打ち首にしてください。殿下(チューナー)」

国王の意に反した時にその言葉を使うのですが、その使い方に少々頭をかしげる時があります。

国王に出した食事に箸を付けなかった時や病気になった時にも、

「どうか私を打ち首にしてください。」 というのです。

その言葉の裏側には、「私は悪くない。」と言っているようにも聞こえるのです。

韓国への輸出タオルに理不尽なクレームが出た時に、韓国バイヤーに一度言ってみようかな?

「どうか私を打ち首にしてください。チューナー。」

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