2011/05/13| 七福萬来
(日本語) 映画鑑賞
ゴールデンウィーク中、昼寝をしたので夜眠れなくなり、自宅で映画をいくつか見ました。
先日イッセー尾形さんの公演に行った時にロビーで買った ”太陽” という映画があります。
この映画、ロシア・イタリア・フランス・スイスの合作で、昭和天皇が主人公です。
その天皇・ヒロヒトをイッセー尾形さんが演じています。
皇室の描写がタブー視されている日本での公開は難しいとされている中で、2006年東京と名古屋の2館での配給でスタートしましたが、立ち見が出るほどの盛況ぶりになり、その後全国各地で拡大公開された作品です。
終戦直前から直後までの昭和天皇の苦悩を映像美とともに描いています。
イッセー尾形さんが天皇ヒロヒトをどのように演じているのかが興味のあるところでした。
もう1本 野村芳太郎監督の”事件” という映画を見ました。
この映画1978年に公開され、当時高校2年生だった私にとって衝撃的な作品でした。
三角関係からもつれた殺人事件を裁く法廷映画で、地味になりがちな描写なのですが、検事役に芦田伸介、弁護士役に丹波哲郎、判事役に佐分利信 など存在感のある役者により、重厚な人間ドラマに仕立てています。
19才の少年が同郷の姉妹と関係を持ち、姉を殺してしまいます。
しかしそれが殺意をもったものなのか?偶然の事故であるのか?裁判の争点はここにあります。
物語は死体発見から始まり、検挙された少年の裁判風景が中心で、回想シーンを織り交ぜながら進行していきます。
多数の証人による証言には、自己の不利益や容疑者の不利益があり、偽証するシーンもあります。
事件の真実と法廷の真実の対比が見所です。
高校生だった私はこの映画を見て、”正義ってなんなんだろう?” と思いました。
主人公と言うべき姉妹役は、姉が松坂慶子さん。妹が大竹しのぶさんです。
映画の冒頭で、松坂慶子さんがアップで約5秒カットバック(回想)されるシーンがあります。
赤いブレザーを着た彼女を見て、17歳だった私はハットっとしました。
・・・きれいな女性(ひと)だなぁ。こんなきれいな女性がこの世の中にいるんだ。・・・
映画を観終わった後、「オレだったらお姉ちゃん(松坂慶子)の方を選ぶ。」と友人に話したことを思い出します。
今回この映画を再び見ようと思ったのは、17歳の衝撃を思い出すためでした。
30年以上経って見ると、そこには新たな真実と衝撃が待っていました。
“事件”すばらしい作品です。
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