2011/03/08| 七福萬来
落語のチカラ
立川志の輔さんの独演会は、ほとんど演目を事前に告知される事はありません。
会場の雰囲気によって当日舞台に立ってから演目を決められます。
その演目にはメッセージ性があり、私にとってそれがまた楽しみのひとつです。
午後6時半、松山子規記念館で ”立川志の輔独演会”いよいよ開演です。
最初に館長のご挨拶があり、
「今まで(昨年まで)は志の輔師匠のサービスにより、休憩をはさみ2席お楽しみいただきましたが、今回は休憩なしで1時間演じてもらいます。」 とのこと・・。
・・・えっ?1時間ということは1席だけ?・・・
それから前座さんの後、志の輔師匠の登場です。
ものごとが予定通りにいかない事を前提に、携帯電話を使ったカンニングの話から、八百長問題に揺れる相撲界の話をマクラにして、相撲の噺を話しはじめました。
題名もない小噺、そして”佐野山”という噺、さらに”花筏”という噺を、ダイジェスト版で演じていきます。
「これですでに3席演(や)りました。前回は2席だけだったので、いつもより(前年)サービスしています。」
と、笑いを入れながら、志の輔師匠自作の ”メルシー雛祭り” へと入って行きました。
そして、噺の大詰めになると会場のあちらこちらからすすり泣く声が聞こえ始め、オチを言って頭を下げると、拍手が鳴りやまない状態に。
・・・すごい!すごい!・・・
時間は予定通り8時ジャスト!
志の輔師匠が舞台から袖に下がると、今度は舞台では抽選会と称した客相手のくじ引き大会になりました。
「これはもう見なくてもいいだろ。」と、仲間と3人で席を立ち、楽屋へ行きました。
「いやぁ~、さっき公演時間のこと言われたんだよ。別に去年までサービスしてたわけないんだけど・・。」
志の輔師匠は、苦笑いしながら言ってました。
「くじ引きやる時間があるんだったら、みなさん志の輔らくごをもっと見たかったと思いますが、あの構成は即興ですか?」
「色々と会館の都合もあるんじゃないの。まあ何とかうまくまとまったよ。」
“メルシー雛祭り” という落語は、外務省の役人がフランス大使母娘を連れて、ある商店街に訪れたのですが、想定外の事が起こり、商店の人たちがこれまた想定外の事を起こすストーリーです。
外務省役人にとっての想定外と、フランス大使母娘が本当に見たかった日本とのズレがこの落語の見所です。
・・・すごい!・・・と、私が感じた 志の輔流 ”落語の揶揄(やゆ)” が主催者側に伝わっていればいいのですが・・。
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