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ほのかなご縁

年度末です。

金融機関を中心に転勤のご挨拶にご来社される方が増えました。

幼いころから知っている友人の娘さんも転勤となりました。

彼女はとても恥ずかしがり屋さんで、いつもお父さん、お母さんの後ろに隠れていました。

それが数年前、大学生のころ卒業研究のため、うちの会社に現れたかと思うと、私の取引銀行の支店に就職したのでした。

昨年別な会社の銀行員と結婚しましたが彼の転勤にすぐについていくことができず、新婚でありながら別居生活をしていました。

共稼ぎの辛いところです。

それがこの春やっとの思いで転勤願いが叶い、彼の住む街への行くことになったのです。

「お世話になりました。」

挨拶に来てくれた彼女の顔は 春爛漫 。

昨年、今治にやってきた春風亭昇太さんとの夕食会がすごくいい思い出になったとのこと。

人との縁は面白いものです。

縁といえばその夕食会に一緒に来た彼女の同僚にもエピソードが。

取引銀行での用事が終わり、駐車場に向かおうとした時、女子行員さんが私を追いかけてきたのです。

「河北社長にお伝えしたいことがあります。」

彼女のうるんだ瞳から 恋の予感 を感じたのですが、それは私の勝手な妄想でした。

話を聞いてみると、昨年 七福タオルが主催した 『今治落語会』 に ご両親を誘ってお見えになった時のこと。

お父様のすぐ後ろの席に、お父様のご親友が座っていたそうです。

お父様とそのご親友は長年会っておらず、互いに消息を探していたところ、偶然にも席が近くどころか前後だったというのです。

「落語会で親友に再会できた時の父の喜ぶ姿を見て、企画してくれた河北社長と前の日に食事をご一緒できた昇太さんにお礼を言いたくてお引止めしました。」

お体が悪いご親友は、残念ながら今年になって他界されたそうですが、落語会が語り草になったとそうです。

人との縁を感じられることができ、こちらこそ感謝。

ほのかに匂う桜のようなおはなしでした。

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