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(日本語) TOWEL STORY~初恋篇~

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ぼくはタオル。

このウチにお世話になってずいぶんになる。

今日はその話をしよう。

ぼくがこのウチにきたころ、新しい家族ができたんだ。

その子の名前は エリ 。

カワイイ女の子だ。

エリはぼくのことが大好きで、ぼくもエリが大好き。なのでいつも一緒にいた。

エリが5歳のとき、道で転んでしまいひざをすりむいてしまったことがあった。

痛くて泣いていたので、ぼくはエリの顔を包んで流れる涙をぬぐってあげたんだ。

『いたいの いたいの 飛んでけー』

エリが10歳のとき、飼っていた小鳥が死んでしまって、悲しくて泣いていた。

ぼくはエリのやさしい涙もぬぐってあげた。

『きっと、天国に行っても楽しく飛び回っているよ』

エリが14歳のときは、恋をしてたね。

毎日ひとつ上の彼とすれ違うたびにドキドキしてたし、ノートに彼の苗字に自分の名前を書いては顔を赤くして消していた。

でもその彼には彼女がいることを知ったとき、静かに泣いてた。

ぼくはエリのせつない涙を包んであげた。

『いつか王子さまが迎えにくるよ』

それから幾度かエリは涙を流し、ぼくはやさしくぬぐった。

『元気を出して』 『負けるな』 『がんばれ』 『よくやったね』 そして 『泣いていいよ』

エリが17歳になったとき ナオトに会ったんだね。

エリは路面電車の中で小説に夢中になっていた。

読んでは涙を流し、ぼくはいつものように涙をぬぐった。

エリはあまりにも小説に夢中になりすぎて到着駅に気がつくのが遅くなり、あわてて電車から飛び降りたものだから、ぼくを電車のなかに置き忘れてしまったんだ。

でも、前に座っていた子がぼくを拾ってくれた。

それがナオトだった。

ナオトはエリのことをいつも電車の中で見かけていた。

しゃべったことはないが、エリのことが気になっていた。

それは、ナオトもぼくと同じ柄のタオルを愛用していたからだ。

ナオトはエリにぼくを返そうと奔走する。

そしてクリスマスの日、自転車に乗って踏切で待っているナオト。

そこにゆっくりと路面電車が横切る。

電車の中にエリがいるのを発見。

ナオトは自転車で電車を追いかける。

ぼくはナオトのバックから落ちないように必死につかまっていたんだ。

電車は次の駅に到着し、ナオトが駆け寄ると無情にもドアが閉まり、電車は動き始めてしまう。

息を切らしてしゃがみこむナオトの視線に入ったのは、向こう側のホームにいる笑顔のエリだった。

追いかけてくるナオトとぼくに気がついて駅に降りたのだった。

ナオトのやさしい手の中にぼくはいたんだ。

それから二人はどうなったかって?

それはね、素敵なクリスマスになったんだ。

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