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家見舞い

「おう、いいぜ!!」

お誘いすると、軽快に二つ返事があり、久しぶり・・でもないが、春風亭昇太さんと飲んだ。

本当にこの人には頭が上がらない。

もっとわかりやすくいえば、かなわない。

私の方が後輩なのであたりまえなのだが、言ってることも、行動しても、知識も、人脈も、財力も、人の良さも、ジャンケンもだ。

その昇太さんの新しい家を見せてもらった。

古いものが大好きというこだわりの家。(詳しくは後日)

キッチンへいくと、アイランドのシンク(流し)にカウンターがついていて、椅子が4つある。

居酒屋風な感じで、友だち呼んでは得意の料理を振る舞うんだそうだ。

「友だちよりも、いい女性(ひと)見つけないと!」 と言おうとしたが、倍返しされるので呑み込んだ。

アイランドキッチンの後ろには、真新しい大型冷蔵庫があり、その横は食料品の保管庫になっている。

その保管庫にも中ぐらいのサイズと小さなサイズの古びた冷蔵庫が2つ並んである。

お客さんからのいただきものが多いので、冷蔵庫はひとつで足りないとのこと。

さすが売れっ子芸人!と思いながらも、私は別なことを考えていました。

「これは、コーポ○○の時に買ったやつで、こちらはメゾン××の時に買ったやつ。」と、以前住んでいたアパート・マンションの名称を言いながら冷蔵庫を指さしたのです。

コーポ○○の時といえば、昇太さんが初めてお風呂付きに住み始めたアパートの名前で、メゾン××の時は、オートロック付きの玄関があるマンションの名前。

小・中・大の3つの冷蔵庫を眺めながら、昇太さんの芸歴・成長を感じずにはいられなかったのです。

「こないいだ北海道に行った時にお客さんからもらったんだけどな、これ美味しいんだぜ!」

「これさ、仙台の牛タン!これで一杯やろうぜ!」

「これは・・・、こないだ・・・、そうそうこれこれ・・・、」

遊びに行くたびに、この冷蔵庫たちからいろんなものが出てきて、部屋で一杯飲んでは泊めてもらったのです。

そして朝になると、私は食器を洗い片づける。新しい家でもきっとそうなるでしょう。

「早くいい女性(ひと)見つけてください。」 と言うのを、やっぱり呑み込んだのでした。

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