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TOWEL STORY ミューとコロ篇


DSC05534.JPG今年もクリスマスにショートストーリーをひとつ。

少女の名前は、ミュー 12歳。今日はミューにとってとても悲しい日になりました。

親の仕事の都合で外国へ引っ越しをしなければなりません。

1ヵ月前に子犬を拾ってきましたが、その子犬は連れていくことができないのです。

「コロ、ごめんね。」

子犬のコロは、手に流れ落ちたミューの涙をしっぽ振りながらなめています。

「コロごめんね。これ置いていくから。私だと思ってね。いつも近くにいるからね。」

ミューは自分のお気に入りのタオルハンカチをコロの入った段ボール箱に入れます。

コロはそのタオルハンカチを嗅いでは、しっぽを振っています。

「コロの事、忘れないからね。さよなら。」

「ワンワン」

ミューのいつもと違う雰囲気を悟ったようにコロは2回ほど吠えました。

そして12年後・・ミューは24歳です。

半年前に帰国し、ホテルで働いています。

3月11日に日本を襲った 東日本大震災 の報道を見て帰国したのです。

「今、私にできること。見捨てる事の出来ない私のふるさと日本。」

ミューは12年前に見捨ててしまったコロの事と今回の震災を重ね合わせて、日本に帰国する事を決めたのです。

12月24日、ミューはボランティア活動のために被災地へ行きました。

家を捨て避難した人の住んでいた町は、ゴーストタウンのようです。

ミューは、重い気持ちになりながら町を歩いて行くと、1匹の痩せこけた老犬がこっちを見ています。

「飼い主がいなくなっちゃんたんだね。かわいそうに・・お腹がすいているのね。」

ハンドバックからビスケットを1枚取り出すと、その老犬は重い足どりで近寄ってきてクンクンと確認したあと食べ始めました。

そして食べ終わると、老犬はしっぽを振りながらある方向に走って行きます。

ミューは導かれるように、その老犬の後をついて行くと、ある家につきました。

その家の庭にある犬小屋から老犬はボロボロになった布切れを咥(くわ)えてミューのそばまでやってきました。

老犬はその布切れをミューの足元に置き、しっぽを振って吠えています。

「何?この布を見せたいの?・・・・これタオルじゃない。・・・・・・えっ!あなたまさか・・・コロなの?」

ミューの匂いを、12年経った今でもコロは覚えていたのです。

手にこぼれ落ちるミューのあふれる涙をコロはしっぽを振りながらなめています。

クリスマスイブの日、奇跡は起こりました。

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