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口三味線

杵屋邦寿(きねや くにとし)さん と 松永鉄九郎(まつなが てつくろう)さん の 長唄三味線ライブ 『伝の会』 今治公演 は大入り満員の大盛況。

「正直 こんなに人が集まるとは思いませんでした。」と私がいうと、

鉄九郎さんは 「オレもそう。」といい、 邦寿さんは 「いいお客様でした。」といいました。

終演後の楽屋での会話です。

そうそう、三味線方の敬称として 「先生」 と呼ぶべきか 「師匠」 と 呼ぶべきか、という前回ブログの件ですが、結局、結論がつきませんでした。

で、どうお呼びしたかというと 邦寿さんには「師匠」 とつけ、鉄九郎さんには「先生」 をつけて呼んでいました。

自分でも 『何かおかしいぞ。』 と感じながらも、口に出してしまったら、それを貫くしかありません。

それはそれとして、三味線ライブは、素晴らしく また カッコイイ。

艶っぽいというか、色っぽいというか、濡れているというか・・。音色が全然違う。

曲と曲の間に、三味線の種類の話、歴史、曲の情景説明や演奏の話 など わかりやすい説明もあります。

その説明の中で、三味線を含む 邦楽のほとんどが 曲を口で表現でき、口で教えることが可能であることだと。

例えば 小太鼓は 『テンテンテケスクテンテンテン』 だし 横笛は 『オヒュルヒャラリヒュルルヒャラリ』 となる。

三味線はというと 『チントンシャン』 が代表的で 以前放送されたNHK朝の連続ドラマ 『ちりとてちん』 という題名も三味線の音色からきています。

音を口で正確に伝えることを 『口三味線(くちしゃみせん)』 といいます。

『口三味線』 と聞けば、嘘をいう人のことを指し、あまりいい言葉ではありませんが、語源は邦楽言葉にあり、邦楽の世界では語源通りに、今でも普通に使われているとのこと。

ただ適当に音を言葉にしているのでなく、三の糸は 『チン』、二の糸の開放音は 『トン』、二と三の糸を同時に弾いたときは 『シャン』と呼び、そのほかにも 一と二の糸を同時の場合は 『チャン』、バチを返した時は ラ行を使うなど、口三味線は口で唱えるだけで、弾き方もわかるようにもなっているのです

つまり日本の邦楽は口で継承していくことを念頭に計算されているのです。 奥深い『口三味線』 。

公演が終わり、一緒に行った仲間と遅い夕食をとっていると、志の輔師匠から電話がかかってきました。

「鉄九郎の会(ライブ)に行ってくれたそうだな。ありがとう。」 とのこと。

鉄九郎先生、私が楽屋見舞いに行ったことを志の輔師匠にお伝えしたのでしょう。

お二人の関係が、志の輔師匠からの言葉で伝わってきました。

コメント一覧

  1. 河北泰三 より:

    コメントありがとうございます。
    ライブの成功は、お弟子さん・スタッフ・そして演者のみなさんの伝えたいという結集力です。
    「見たい。聴きたい。」「見せたい。聴かせたい。」 という “気” が、会場全体にありました。
    邦寿師匠、鉄九郎先生 も 今治が好きになったと思います。
    お疲れ様でした。

  2. 村上寛美 より:

    伝の会ライヴ実行委員長の村上です。
    河北様には、たくさんのご協力をいただき、ありがとうございました。
    お陰様で、盛会のうちに終えることができました。
    「伝の会」や「長唄」がどのようなものか、ご存知ない方もたくさんいらっしゃったのですが、皆さんご満足くださったようで、胸をなでおろしています。実は私自身も、伝の会ライヴは初めてでしたので、自分も最高に楽しんだ会となりました。
    本当にありがとうございました。

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