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不覚の寝坊

「あー!」

携帯電話の呼び出し音で気がつきました。

昨夜は熊本で、得意先と取引先の懇親会でした。

宴会は大変盛り上がり、時間があっという間に過ぎてしまいました。

「河北さん、このあと予定がなければ、私の家にきませんか?近くなんで・・。」

「望むところです。」

社長からお声掛けいただき、遅い時間にも係らず酒の勢いで、お宅にお邪魔しました。

そこで、美味しいお酒をふるまってもらい、またしてもいい気分になりました。

そろそろ・・ということで、タクシーを呼んでもらったのが午前1時です。

取引先仲間とホテルに戻ろうとした車中で、誰が言うことなく

「もう一杯行きますか?」

「望むところです。」

それから、熊本歓楽街にある行きつけのスナックに行こうとしましたが、すでに閉店になっており、隣のショットバーで盛り上がりました。

「河北さん、落語研究部でしたよね。」

「はいそうですけど・・。」

「なぞかけやってよ。」

「望むところです。」

「じゃあ、さっき入ろうとした店の名前とかけて、といきましょうか?」

「うう。ちょとまってね・・・ととのいました。」

「おおっ!早い、どうぞ。」

「さっき行こうとした店とかけて、鯖(サバ)ととく、そのこころは どちらもすでにシメテいました。」

パチパチ パチパチ

結果、午前3時過ぎまで飲んでいました。

仲間と同じホテルで、同じ時間帯の飛行機だったので、午前6時50分にロビー待ち合わせをしました。

そして、午前7時50分携帯電話に起こされたのです。

「ごめんなさい。寝坊してしまいました。もう空港ですよね?お先にどうぞ・・。」

「いや、私も寝坊してしまいました。これからご一緒にどうですか?」

「望むところです。」

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