2012/09/26| 七福萬来
(日本語) 駅
10月1日に東京駅丸の内駅舎が大正時代そのままに復元しグランドオープンします。
テレビでその姿を見ると、「よぉ!日本一!」 と声をかけたくなるような風格があります。
今や駅と言えば、巨大化し駅ビルといった感じで、多くの商業施設が入っています。
せめて外観だけは駅舎らしい雰囲気を残してほしいと思っていたのですが、東京駅丸の内駅舎はやってくれました。
この駅舎の3F部分に東京ステーションホテルが新装オープンします。
川端康成や松本清張といった文壇の巨匠たちが愛したホテルと言われています。
客室内のメモ紙に原稿用紙の印刷をしているところは、なかなか憎い演出です。
駅を舞台にした小説、映画、ドラマは数々あり、多くの人間ドラマを生み出す場所なんでしょう。
私にとっても駅の風景には、色々と思い出があります。
今から32年前、19歳の私は山陰本線の各駅停車に乗車していました。
当時の列車は内装がこげ茶の木造りで、ブラインドも木製です。
対面式固定4人掛けの座席に山陰地方の老人ホームへの慰問に来た落語研究部の仲間と座っていました。
ふと気がつくと小さなとある駅から若い男性が乗車してきて、ホーム側には上司とみられる初老の男性とセーラー服姿の女子高生がふたりいました。
昭和56年9月の平日、時間は午前10時。
・・・もう学校始まってんじゃないの?なんでこんな時間に高校生がいるの?・・・
若い男性は席に着くと列車の窓を大きく開けると手を差し伸べ、その手をホーム側の3人がしっかりと握りあいます。
みんな無言で、女子高生は泣いていました。
そして、汽笛が静かな駅に鳴り響き、ゆっくり列車は滑り出します。
女子高生のひとりは「先生・・」とふりしぼる声でいい、車中の若い男性は必死になって笑顔をつくっています。
・・・えっ、何これ。映画のワンシーン?・・・
この人たちに何があったのかわかりませんが、季節外れの転勤のような雰囲気がありました。
駅舎が見えなくなってしばらくすると、若い先生は女子生徒からもらった手紙を読み始め、大粒の涙を流し始めたのです。
駅が色んなドラマを生み出していると初めて知ったのでした。
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コメント一覧
コメントありがとうございます。
あれから数年後日本はバブルに踊らされることになるのですが。
木造造りの小さな駅舎を見るたびに、あのシーンを思い出してしまいます。
おはようございます。
昭和のいい時代の映画のようなお話し感動しました。
ちなみに私はそのとき、今の職場で上司にしごかれていたと思い出しました。
いまとなってはいい思い出です。