2010/12/15| 七福萬来
(日本語) 歌舞伎
得意先の社長のご好意で、お供させていただいたのです。
演目は ”通し狂言 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)” と ”達陀(だつたん)” です。
“通し狂言 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)” は、道ならぬ恋の話です。
解説によると、歌舞伎の世界では女性が男性に対してストレートに想いを打ち明ける話が多くあるそうです。
今でいう、肉食系女子です。
舞台は大阪、高安左衛門という殿様の次男・俊徳丸(しゅんとくまる 19歳ぐらい)は、高安家の家督を引き継ごうとしています。
高安左衛門の先妻は他界しており、21歳になる玉手御前(たまてごぜん)を後妻に迎えます。
その玉手御前が、継子(ままこ)である俊徳丸に恋を打ち明けるところから物語はスタートします。
義理とはいえ親子である道ならぬ恋に俊徳丸が応じるわけがなく、また俊徳丸には許婚(いいなずけ)である浅香姫(あさかひめ)もいます。
そのうち、俊徳丸が奇病にかかり、顔半分がただれてきます。
執拗な玉手御前の愛情に嫌気がさした俊徳丸は家出をしてしまい、それを追って浅香姫、玉手御前も家を出てしまいます。
玉手御前の実家である合邦道心(僧侶)の家で、俊徳丸・浅香姫そして玉手御前が相対(あいたい)します。
クライマックス、玉手御前が恋して止まない俊徳丸に対して狂気ともいえる行動にでます。
そして最後の最後で、なぜ俊徳丸が奇病にかかったのか?玉手御前は道ならぬ恋に落ちたのか?執拗に俊徳丸を追い続けたのか?すべてが解き明かされる、大どんでん返しが待っていました。
・・・これって、極上のミステリー小説じゃん・・・
主役の玉手御前には尾上菊之助さんが扮し、女の情念のすごさを見事に演じていました。
「泣いている・・。」
菊之助さんは、舞台で玉手御前の演技をしながら、涙を流していたのです。
歌舞伎は大掛かりであり、演技も大げさでありますが、ここまで真に迫るとは思いもしませんでした。
終演後、主催者のご配慮で菊之助さんの楽屋へおじゃますることができ、感激を直接伝える事ができました。
余韻を残して会場を後にするほどの舞台にした尾上菊之助・・すごい役者です!
本物はすごい!プロはプロたる由縁がある!これぞ日本のエンターテイメント!
「とわや(音羽屋)!」
しばらく後を引きそうな歌舞伎観劇でした。
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